ちょっと役立つマメ知識(BOXをクリックすると詳細画面が表示されます)

  注1:計算結果をご使用になる場合は、自己責任においてご使用願います。
     また、発生した損害につきましては、一切の責任を負わないものとします。
  注2:掲載の記事・写真・イラスト・計算式などの無断複写・転載等を禁じさせて頂きます。

(1)『ステンレス』ってなあに?   
(2)『SUS304』ってなあに?   
(3)『SUS304とSUS304Lの違い』ってなあに?   
(4)『SUS304とSUS316の違い』ってなあに?   
(5)『マルテンサイト,フェライト,オーステナイト』ってなあに?   
(6)『硬さと硬さ記号』ってなあに?   
(7)『クロム(Cr)の働き』ってなあに?   
(8)『ステンレスの種類』ってなあに?   
(9)『ステンレスの成分』ってなあに?   
(10)『ミリ単重』ってなあに?renewal   
(11)『比重計算』ってなあに?renewal   
(12)『CSP、CP』ってなあに?   
(13)『横曲り』ってなあに?   
(14)『エッジの種類』ってなあに?   
(15)『HV (ビッカース) と HRC (ロックウエルC)』ってなあに?   
(16)『バリ』 『カール』ってなあに? どうしてできるの?   
(17)『SUS304 2B 定尺板の重量と板厚公差』ってなあに?   
(18)『ミルシート』ってなあに?   
(19)『SUS316とSUS316Lの違い』ってなあに?   
(20)『 SK 』ってなあに?   
(21)『 RoHS,REACH,MSDS,MSDS plus 』ってなあに?   
(22)『 ビニール貼り(表面保護シート) 』ってなあに?   
(23)『 エッチング 』ってなあに?   
(24)『 ロール目 』ってなあに?NEW   

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ちょっと役立つマメ知識

(1)『ステンレス』ってなあに?   

鉄は、錆びます。
鉄の錆びは、鉄と酸素が結びついて「酸化鉄」が発生することを言います。
鉄にクロムを混ぜると、鉄が酸化する前にクロムが酸化し、表面に酸化クロムの膜ができます。
(クロムは鉄より酸素に結びやすい特徴があります)
この膜は、無色透明でとても薄い膜です。肉眼では識別できません。
(クロム酸化物を主成分とする0.005μm 程度の極めて薄い膜)
  ※1μm(マイクロメートル)=1/1,000mm
    0.005μm=5/1,000,000mm
さらに、この膜は化学的に安定していて、とても強固です。
また、酸素を通さないので錆びの発生を防ぎます。
この、酸化クロムの膜で表面が保護されている状態を「不働態化している」と言いいます。
(合金表面に不働態被膜(ふどうたいひまく)と呼ばれる被膜ができます)
このような特性を生かして、鉄にクロムあるいはクロムとニッケル等を添加した合金のことをステンレスと言います。
鉄にクロムを添加した合金を作ると、この被膜がステンレスの表面を覆い、錆びにくくなります。
この不働態被膜は加工・切断などでキズついても、クロムが適量であれば空気中の酸素と結合してすぐ再生します。
ただし、この膜を再生するときにステンレス内部のクロムを使用するため、含有率は低くなっていきます。
ステンレスは、含まれる金属の割合で様々な特性のステンレスができます。
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ちょっと役立つマメ知識

(2)『SUS304』ってなあに?   

最も代表的なステンレス鋼です。「18-8ステンレス」と呼ばれたりもします。
オーステナイト系ステンレスと呼ばれ、
「72%の鉄(Fe)」
「18%以上のクローム(Cr)」
「8%以上のニッケル(Ni)」
「2%の微量成分」で構成されています。
耐食性に優れ、機械的性質も良好です。
家庭用品から工業用品まで巾広く利用されています。
個溶化熱処理状態では非磁性ですが、強い加工により弱い磁性をもつようになります。
(個溶化熱処理:鉄鋼を充分に加熱して合金成分を固体に溶け込ませ(固溶)、
その後冷却する処理です。この処理は、硬度を高めるために行います。)
(参考)
  SUS とは、
    Steel
    Use
    Stainless
  の頭文字を取ったものです。
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(3)『SUS304とSUS304Lの違い』ってなあに?   

「SUS304」と「SUS304L」は、耐食性に影響するクロム(Cr)やニッケル(Ni)の含有量は同じですが、炭素(C)の含有量が異なります。
SUS304は、炭素(C)が0.03%~0.08%含まれています。
SUS304Lは、炭素(C)が0.03%以下になります。
SUS304等のステンレスは、素材メーカから出荷される段階で、炭素(C)濃度が均一な状態に調整されています。
この状態は、ステンレスの耐食性が最もよい状態になります。
しかし、ステンレスが加工される段階や、使用段階で熱処理を受けると、ステンレス内の炭素(C)が、耐食性を示す成分であるクロム(Cr)と結合します。
結合した「クロム炭化物」は、ステンレスの結晶粒界に連続的に生成し、その付近にクロム(Cr)の欠乏した耐食性の劣った領域が生じます。
このような状態は、ステンレス内の炭素(C)濃度に依存されます。
SUS304より炭素(C)濃度を低下させたSUS304Lは、相対的にこの領域が生じにくい材料です。
このため、腐食の発生を回避するため、SUS304Lを使用する場合があります。
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ちょっと役立つマメ知識

(4)『SUS304とSUS316の違い』ってなあに?   

オーステナイト系の代表的なステンレスには、SUS304とSUS316があります。
この両鋼種は、成分にモリブデン(Mo)が含まれるか、含まれないかの差があります。
SUS304にはモリブデン(Mo)が含まれていません。
これに対し、SUS316には約2%のモリブデン(Mo)が含まれています。
引張強度などの機械的特性には、大きな差はありません。
両鋼種の主な差は、耐食性にあります。
ステンレスの耐食性は、表面に生成する「不働態皮膜」と呼ばれる薄い皮膜によります。
ステンレスの場合、この不働態皮膜を形成する主な成分は、クロム(Cr)とモリブデン(Mo)になります。
これらの濃度が高いほど、不働態皮膜が「ち密」で「耐食性が良好」とされています。
腐食を示す環境の範囲が、SUS304に比較してSUS316の方が広く、耐食性の良い材料と言えます。
しかし、モリブデン(Mo)は酸化性酸環境で耐食性が劣るので、
強酸化性溶液では、 SUS304とSUS316の耐食性が逆転する場合もあります。
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(5)『マルテンサイト,フェライト,オーステナイト』ってなあに?   

金属組織の分類になります。
クロム系ステンレスは、マルテンサイト組織を有するものとフェライト系組織を有するもがあります。
それぞれマルテンサイト系ステンレス,フェライト系ステンレスを呼ばれます。
クロム・ニッケル系ステンレスは、一般的にオーステナイト組織を有しており、オーステナイト系ステンレスと呼ばれています。
結晶構造の違いによって磁気的性質が変わります。
体心立方格子(または一部にこれを含む)のフェライト系,マルテンサイト系,2相系ステンレスは、強磁性で磁石によくつきます。
磁性の有無は結晶構造によるものになります。

・マルテンサイト系ステンレス
  焼き入れによって硬化します。
  すべての状態で磁性があります。
  代表鋼種・・・SUS420J2

・フェライト系ステンレス
  焼き入れによって硬化しません。
  すべての状態で磁性があります。
  代表鋼種・・・SUS430

・オーステナイト系ステンレス
  焼き入れによって硬化しません。
  加工硬化が著しいのでバネや強靭鋼としても使用できます。
  個溶化熱処理状態では非磁性ですが、強い加工により弱い磁性をもつようになります。
  代表鋼種・・・SUS304,SUS301,SUS304L,SUS316

・析出硬化系ステンレス
  焼き入れによって硬化できないオーステナイト系ステンレスを熱処理によって硬化できるようにした鋼種です。
  耐食性はオーステナイト系に及びませんが、クロム系より優れています。
  代表鋼種・・・SUS631
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ちょっと役立つマメ知識

(6)『硬さと硬さ記号』ってなあに?   

 JIS(日本工業規格)で規格されたものです。 硬さと記号の対応は、下記の通りです。

  (*)引張強さ,バネ限界値 ともに ”単位:N/㎜2” になります。
鋼種名
仕上名
硬度
引張強さ(*)
バネ限界値(*)
SUS301-CSP
SEH
HV 530以上
1810以上
650以上
SUS301-CSP
EH
HV 490以上
1570以上
590以上
SUS301-CSP
HV 430以上
1320以上
490以上
SUS301-CSP
3/4H
HV 370以上
1130以上
390以上
SUS301-CSP
1/2H
HV 310以上
930以上
315以上

  (*)引張強さ,バネ限界値 ともに ”単位:N/㎜2” になります。
鋼種名
仕上名
硬度
引張強さ(*)
バネ限界値(*)
SUS304-CSP
HV 370以上
1130以上
390以上
SUS304-CSP
3/4H
HV 310以上
930以上
335以上
SUS304-CSP
1/2H
HV 250以上
780以上
275以上

  (*)引張強さ,バネ限界値 ともに ”単位:N/㎜2” になります。
鋼種名
仕上名
硬度
引張強さ(*)
バネ限界値(*)
SUS631-CSP
HV 450以上
1420以上
------
SUS631-CSP
3/4H
HV 400以上
1180以上
------
SUS631-CSP
1/2H
HV 350以上
1080以上
------

 ***** JIS G4313 硬度(HV)(HV:ビッカース硬さ記号[JIS Z 2244] ) *****

 ビッカース硬さ:対面角が136度のダイヤモンド四角すい圧子を用い、試験面にくぼみをつけたときの試験荷重と,
 くぼみの対角線長さから求めた表面積とで算出した値です。


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(7)『クロム(Cr)の働き』ってなあに?   

クロム(Cr)の働きは、「さびを防ぐ」です。
文字通り、「さびない鉄」がステンレスです。
しかし、条件次第ではさびてしまいますので、正確には 「さびにくい鉄」ということになります。
鉄の「さび」とは、鉄と酸素が結びついて「酸化鉄」が発生することを言います。
クロム(Cr)は鉄より酸素と結びつきやすいという特徴があります。
鉄に12%以上のクロム(Cr)を含ませると、鉄が酸化するよりも先にクロム(Cr)が酸化し、表面全体に酸化クロムの膜ができます。
この膜は、無色透明でとても薄い(0.005μm 程度の極めて薄い膜) ので肉眼では識別できませんが、化学的に安定していてとても強固です。
 ※1μm(マイクロメートル)=1/1,000mm
   0.005μm=5/1,000,000mm
さらに、酸素を通すことがないので酸化鉄(さび)の発生を防ぎます。
この、酸化クロムの膜で表面が保護されている状態を「不働態化」 していると言います。
この酸化クロム膜は加工・切断などでキズついても、クロム(Cr)が適量で(12%以上)あれば空気中の酸素と結合してすぐ再生します。
ただし、この膜を再生するときにステンレス内部のクロム(Cr)を使用するため、含有率が低くなっていきます。
ステンレスは、含まれる金属の割合で、様々な特性のステンレスができます。

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ちょっと役立つマメ知識

(8)『ステンレスの種類』ってなあに?   

18-0ステンレス(SUS430)
  鉄に、18%以上のクロムを添加したステンレスです。
  ニッケルが添加されていないのでSUS304に比べて安価です。
  磁石が着くのでIH対応ステンレスとして使用されます。

18-8ステンレス(SUS304)
  鉄に、18%以上のクロムと8%以上のニッケルを添加したステンレスです。
  洋食器に限らず、器物全般に最も多く使用されています。
  クロムにニッケルを添加したため堅牢となり、耐蝕性、耐久性が向上しています。

18-10ステンレス(SUS304L)
  鉄に18%以上のクロムと10%以上のニッケルを添加したのが18-10ステンレスです。
  SUS304よりもニッケルの含有量を増やし、炭素濃度を低下させているので、錆びなどの発生率も極めて低く、耐蝕性、耐久性が大幅にアップしています。

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ちょっと役立つマメ知識

(9)『ステンレスの成分』ってなあに?   

下記の図の通りです。鉄に様々な金属を混ぜるとそれぞれ特徴のあるステンレスになります。

SUS301

SUS304

SUS430

SUS631
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ちょっと役立つマメ知識

(10)『ミリ単重』ってなあに?   

例えば、ミリ単重が 1Kg として考えてみます。
コイルの巾が30mmならば、1本は30Kgになります。
コイルの巾が60mmならば、1本は60Kgになります。
つまり、ミリ単重を算出する計算式は、”コイル1本の重量 ÷ 巾 = ミリ単重”の計算式になります。
では、ここに1本180Kgのコイルがあるとします。
巾が80mmだったとしたら、このコイルの単重は、
 180 ÷ 80 = 2.25 になります。
結果、ミリ単重は2.25Kgになります。

ならば、SUS304 1/2H 0.2 × 50 (コイル) で、単重が 0.6Kg~0.7Kg の場合なら、どうなるでしょうか。
 50mm巾 × 0.6Kg = 30Kg
 50mm巾 × 0.7Kg = 35Kg
つまり、1本が30Kg~35Kgの重量になります。

この計算は、”ミリ単重から重量を算出する計算”になります。

コイルの単重を算出する計算ができます。

 (1) コイル質量(重量/kg),コイル巾(mm)の各項目に半角数値を入力して下さい。
 (2) 入力後、[計算実行]を押して下さい。
 (3) 計算結果は、単重(kg/1mm)に表示されます。
   (計算結果は、小数点第3位を四捨五入しています。)
   (kg/1mm : 巾1mmに対する重量を表します。)
 (4) [クリア]を押すと入力値がクリアされます。

 質量kg ÷ 巾 mm = 単重kg/1mm

       

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ちょっと役立つマメ知識

(11)『比重計算』ってなあに?   

ここでは、ステンレス板の場合で説明します。
SUS301,SUS304の比重は、7.93Kgです。
ずばり、計算式は、
 7.93 × 板厚 × 巾 × 長さ  です。 (巾と長さはメートル値に変換します)
例えば、SUS304 1/2H 0.5 × 320 × 1000 の板では、
 7.93 × 0.5 × (320÷1000) × (1000÷1000)
 = 7.93 × 0.5 × 0.32 × 1 ≒ 1.2688Kg (1枚の重量)
 100枚ならば、1.2688Kg × 100枚 ≒ 126.88Kg になります。

他の鋼種でも、比重の値を変えることで計算できます。

ステンレスバネのフラット材(板)の質量(重量:KG)を算出する計算ができます。

(1)板厚,枚数の各項目に半角数値を入力して下さい。(比重:7.93)
(2)入力後、[計算実行]を押して下さい。計算結果(質量:KG)が表示されます。
(3)[クリア」を押すと、数値がリセットされます。

  sus304,sus301  H,3/4H,1/2H

 板厚  × 320 × 1000

 枚数  枚

     

 質量  Kg (小数点第3位四捨五入)

     

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ちょっと役立つマメ知識

(12)『CSP、CP』ってなあに?   

CSP   製造方法を表す符号です。 ばね用冷間圧延鋼帯のことです。
      Cold Strip Spring の文字から取ったものです。

CP    形状を表す符号です。 冷延板のことです。
      Cold Plate の頭文字を取ったものです。

その他の符号(形状を表す符号)
  W   線     Wire
  HS  熱延帯   Hot Strip
  HP  熱延板   Hot Plate
  WR  線材    Wire Rod
  TP  配管用管  Tube Pipes

JIS鉄鋼ハンドブック内「鉄鋼記号の見方」より抜粋しました。

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ちょっと役立つマメ知識

(13)『横曲り』ってなあに?   

下図のように、長さ1mに対する横曲りの数値のことです。
この数値は、巾(w)と厚さ(t)の比 「w/t」 が10以上のものに適用されます。
但し、受渡当事者間の協定によっては、横曲り(mm)数値の1/2まで指定することができます。
   (JIS G4313)より抜粋

ちょっと役立つ「計算式」もご覧下さい。 (13)『横曲りの数値を求める計算式』

横曲り

巾(mm)
10mm~
20mm未満
20mm~
40mm未満
40mm~
80mm未満
80mm
以上
横曲り(mm)
8mm
以下
6mm
以下
3mm
以下
1mm
以下


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ちょっと役立つマメ知識

(14)『エッジの種類』ってなあに?   

製品のエッジの仕上には、次の5種類があります。(イメージ図になります)

横曲り
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ちょっと役立つマメ知識

(15)『HV (ビッカース) と HRC (ロックウエルC)』ってなあに?   

下記の表は、「HVから見たHRCの近似値の数値」と「HRCから見たHVの近似値の数値」を表しています。
近似値の換算表として、ご利用下さい。
参考:HRCの硬さ試験方法は、ダイヤモンド圧子又は球圧子を用いて、最初に基準荷重(*1)を加え、次に試験荷重(*2)を加え、再び基準荷重に戻したとき、前後2回の基準荷重における圧子の侵入深さの差(h)によって、硬さ(HR)の定義式(*3)から求めた値になります。
  *1 基準荷重:98.07N (10kgf)
  *2 試験荷重:1471.0N (150kgf)
  *3 定義式:HR=100-(h÷2)
( JIS Z 2245 )より抜粋

参考:ビッカースの硬さ試験方法は、対面角が136度のダイヤモンド四角すい圧子を用い、試験面にくぼみをつけたときの試験荷重と,くぼみの対角線長さから求めた表面積とで算出した値です。
( JIS Z 2244 )より抜粋

HV HRC

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ちょっと役立つマメ知識

(16)『バリ』 『カール』ってなあに? どうしてできるの?   

コイルの切断 と シャーリングの切断 に分けてお話しします。

最初は、ステンレスコイル(バネ)での切断(スリット)上がりの形状についてです。
コイルを切断加工すると、1本ごとに形状(カール状態)が変わります。
これは、カッター組みによる現象です。

下記の図は、切断機の主要部分をポンチ絵にしたイメージ図になります。
製品が出てくる正面図(図1)と真横からみた側面図(図2)になっています。
側面図(図2)は、右から左方向に製品が出てくるイメージになっています。

 図1は、切断機を正面から見たイメージ図です。    図2は、切断機を横から見たイメージ図です。

図1.正面イメージ

図3は、切断機から製品が出てきたイメージ図です。(分かりやすくバリを強調しています)

図3.バリのイメージ

このように、切断加工はカッター組み(図1)を行い、材料を通す(図2)と材料が上向きと下向きに出てきます。
・カール上向きは、バリが下側(図3.バリ下)になり、
・カール下向きは、バリが上側(図3.バリ上)になって出てきます。

さらに、カッターを通過するとバリの立つ方向が上と下の交互に発生します。
・バリが上の時は、カールが下向き(図3.バリ上)になり、
・バリが下の時は、カールが上向き(図3.バリ下)になります。

図4は、正面から見た「バリ上」と「バリ下」のイメージ図です。(分かりやすくバリを強調しています)

図4.バリのイメージ


お客様がよく使う言葉 使用する用語
カール逆巻き
バリ方向内巻き
ソリ方向外側
バリ下
カール内巻き
バリ方向外巻き
ソリ方向内側
バリ上

用語の使用例
・バリ下:カールを上向きにすること。
  (カーリング形状上向き)
・バリ下統一:カールを上向き一定にすること。
  (カーリング形状を上向きにそろえること)
  (バリ上のコイルをバリ下にする巻き直し作業の工程が発生します)
・バリ上:カールを下向きにすること。
  (カーリング形状下向き)
・バリ上統一:カールを下向き一定にすること。
  (カーリング形状を下向きにそろえること)
  (バリ下のコイルをバリ上にする巻き直し作業の工程が発生します)
・バリ方向統一:バリの立つ面を一定にすること。
  (上もしくは下向きにそろえること)
  (バリ方向を同じにする巻き直し作業の工程が発生します)
・バリ方向明記:バリ上,バリ下を明記にすること。


次に、シャーリングでの切断上がりの形状についてです。
コイルを切断加工すると、両端のバリ方向は同一になります。(図5)
シャーリングでは、左右または前後でバリが逆方向になります。(図6)

図5は、コイルでのバリのイメージ図です。   図6は、シャーリングでのバリのイメージ図です。

バリのイメージ

シャーリング機は、上刃の両サイドでは角度が付いているため、片端から刃が落ちてくる構造になっています。
これは、ハサミと同じ原理になります。
図7をご覧下さい。刃の取り付け状態を見ると分かります。
但し、板厚が厚い材料で細幅の製品にシャーリングすると、ヒネリが発生します。

シャーリングのイメージ

「シャーリング機の動作(図7)」が、どのような切り方になるかを図8~図11で説明させていただきます。
下図をご覧下さい。

図8は、上刃と下刃とで材料(板材)を押さえているイメージになります。板厚によって、クリアランスは変わります。
クリアランスが小さいと刃の寿命が短くなり、刃の研磨までの期間が短くなります。
クリアランスが大きいと刃の寿命は長くなりますが、せん断割れが生じ、次工程で不具合が発生する場合があります。

シャーリングのイメージ

図9は、上刃が下がり材料が切断(せん断)されるイメージ図です。

シャーリングのイメージ

図10は、切断されるとき、材料内の上下にき裂が入る様子のイメージ図です。

シャーリングのイメージ

図11は、き裂により材料が切断(破断)された様子のイメージ図です。

シャーリングのイメージ

図12は、切断面のイメージ図になります。左上から「だれ」「せん断面」「破断面」「バリ」になります。右は、上から「バリ」「破断面」「せん断面」「だれ」になります。

シャーリングのイメージ

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ちょっと役立つマメ知識

(17)『SUS304 2B 定尺板の重量と板厚公差』ってなあに?   

幅1m,長さ2mの板を「メーター板(ばん)」と称しています。
規格は、JIS(日本工業規格)で決められています。 JIS G4305 がJISの記号になります。
SUS304 2B メーター板 「化学成分,機械的性質,板厚公差,1枚の重量」は、下記の通りです。

SUS304 2B メーター板(幅:1,000mm 長さ:2,000mm)  化学成分
Si
Mn
Ni
Cr
0.08
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
8.00~
10.50
18.00~
20.00

SUS304 2B メーター板(幅:1,000mm 長さ:2,000mm)  機械的性質
HV
耐力(N/mm2)
引張強さ(N/mm2)
伸び(%)
200以下
205以上
520以上
40以上

SUS304 2B メーター板(幅:1,000mm 長さ:2,000mm)  板厚公差,1枚の重量
板厚(mm)
幅(mm)
長さ(mm)
板厚公差(㎜)
1枚の重量(kg)
0.3
1000
2000
±0.05
4.76
0.4
1000
2000
±0.05
6.34
0.5
1000
2000
±0.05
7.93
0.6
1000
2000
±0.07
9.52
0.8
1000
2000
±0.09
12.70
1.0
1000
2000
±0.1
15.90
1.2
1000
2000
±0.1
19.00
1.5
1000
2000
±0.12
23.80
2.0
1000
2000
±0.17
31.7
2.5
1000
2000
±0.22
39.6
3.0
1000
2000
±0.22
47.6
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ちょっと役立つマメ知識

(18)『ミルシート』ってなあに?   

ミルシートは、鋼材の材質を証明する書類のことです。
鉄鋼メーカーが製品を発注者に納入する際に、発行する証明書のことをミルシートと呼びます。
このミルシートは、和製英語です。工場や製作所(mill)が発行する書(sheet)という意味からミルシートと呼ばれています。
内容は、鋼材の機械的性質(硬さ(HV),引張強さ(N/mm2),伸び(N/mm2),耐力(N/mm2))や化学成分などで構成されています。
注文により生産したロットごとに規格値や製造実績値(板厚実測値など)が記載される場合があります。
通常、鋼材検査証明書(inspection certificate)という名称で発行されます。
ミルシートは、鋼材の品質を保証する唯一の書類になります。
流通の過程においてもミルシートの写しが、商社や鋼材問屋などから鋼材の証明として最終需要家に届くことになります。

ミルシートイメージ
上図のサンプルは、新日鐵住金株式会社様が発行した「ミルシート」になります。

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ちょっと役立つマメ知識

(19)『SUS316とSUS316Lの違い』ってなあに?   

SUS316,SUS316L共に、SUS304に比べると耐食性に優れています。
SUS316を加工しやすくしたステンレスがSUS316Lです。
SUS316Lは、SUS316から「炭素(C)を減らし」「ニッケル(Ni)を多く」することで、
SUS316より「加工性が良く」なります。
「L]は、ローカーボンを表します。

化学成分
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
SUS316
0.08
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.03
以下
10.00~
14.00
16.00~
18.00
2.00~
3.00
SUS316L
0.03
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.03
以下
12.00~
15.00
16.00~
18.00
2.00~
3.00

  C:炭素
  Si:シリコン(ケイ素)
  Mn:マンガン
  P:リン
  S:硫黄
  Ni:ニッケル
  Cr:クローム
  Mo:モリブデン

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ちょっと役立つマメ知識

(20)『 SK 』ってなあに?   

 SKは、炭素工具鋼の略称です。
 主な用途は、バネ,ゼンマイ,メリヤス針,自動車のホーン,測量用のメジャー,座金,各種ばねなどに使用されています。
 SKの多くは、加工前又は加工後に熱処理を行うのが一般的な使い方です。
 加工性、焼き入れ、製品性能、さらにステンレスより価格が安いので広く使用されています。

 SK(炭素工具鋼)は、Steelの "S" ,工具の "K"
 SKS(合金工具鋼)は、Steelの "S" ,工具の "K" ,Specialの "S"
 のように英語と日本語の混じった略称になっています。

 SKS材は、SK材にタングステン、モリブデン、クローム等の元素を添付して性能を高めた工具鋼になります。
 そのため、SK材に比べて焼き入れ硬度や耐摩耗性に優れています。
 SKS材の代わりにSK材を使用できるかは、製作した部品に要求される耐摩耗性等により判断します。
 そのため、負荷のかかる部分で使用するならば、SK材を使用せずSKS材を使用する方が無難と思われます。

 *炭素工具鋼鋼材の種類と記号及び化学成分(単位:%)
種類の記号
旧記号
Si
Mn
SK120
SK2
1.15~
1.25
0.10~
0.35
0.10~
0.50
0.030以下
0.030以下
SK105
SK3
1.00~
1.10
0.10~
0.35
0.10~
0.50
0.030以下
0.030以下
SK95
SK4
0.90~
1.00
0.10~
0.35
0.10~
0.50
0.030以下
0.030以下
SK85
SK5
0.80~
0.90
0.10~
0.35
0.10~
0.50
0.030以下
0.030以下
SK75
SK6
0.70~
0.80
0.10~
0.35
0.10~
0.50
0.030以下
0.030以下
SK65
SK7
0.60~
0.70
0.10~
0.35
0.10~
0.50
0.030以下
0.030以下

 表示記号の変遷  現行の表示記号は、C(炭素)の含有量の%で表されます。(2000年に改訂)
1950年
1953年
1956年
1965年
1972年
1983年
2000年
SK2
SK2
SK2
SK2
SK2
SK2
SK120
SK3
SK3
SK3
SK3
SK3
SK3
SK105
SK4
SK4
SK4
SK4
SK4
SK4
SK95
SK5
SK5
SK5
SK5
SK5
SK5
SK85
SK6
SK6
SK6
SK6
SK6
SK6
SK75
SK7
SK7
SK7
SK7
SK7
SK7
SK65

  SK2 → SK120
  SK3 → SK105
  SK4 → SK95
  SK5 → SK85
  SK6 → SK75
  SK7 → SK65

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ちょっと役立つマメ知識

(21)『 RoHS,REACH,MSDS,MSDS plus 』ってなあに?   

 RoHS(ローズ)は、「電気・電子機器における特定有害物の使用制限」についての欧州連合(EU)による指令です。指令内容では、特定有害物の含有率を「指定の数値以下」にする必要があります。
 下記がその物質と指定された数値になります。
  鉛:1,000ppm以下
  水銀:1,000ppm以下
  カドミウム:1,000ppm以下
  六価クロム:1,000ppm以下
  ポリ臭化ビフェニル(PBB):1,000ppm以下
  ポリ臭化ジフェニテール(PBDE):1,000ppm以下
(参考:欧州連合における「指令(しれい)」は、参加加盟国に対してある目的を達成することを求めます。しかし、その方法は定めておりません。そのため、「規制」のようにそれ自体が執行力を持つものとは異なります。)

 REACH(リーチ)は、「欧州連合(EU)内で年間1トン以上製造・輸入する事業者」に対する化学物質の使用状況の登録義務を課する規制です。

 MSDS(製品安全データシート)は、指令・規制とは直接の関係はありません。主に環境負荷物質や特定の化学物質の使用・含有の情報開示とその製品の取扱いに対しての注意が記入してある書類です。
 例えば、
  ・製品の取扱いにおいて、飲み込んだ場合は・・・
  ・製品の取扱いにおいて、火器に近づけない・・・
  ・製品の取扱いにおいて、××の物質と化学反応を起こすので一緒に使用しない・・・
 などが書かれています。
 また、MSDSには、製品を製造した企業の情報も必須項目になります。

 MSDS plus(製品安全データシート プラス)は、JAMP(ジョイント アークティクル マネジメント 推進協議会)が推奨する製品含有化学物質情報を伝達するための基本的な情報伝達シートになります。
 この情報伝達シートには、
  ・製品中の含まれる成分を管理対象とする「法規等の名称」
  ・管理対象となる物質の「含有の有無」「物資名称」「CAS番号」「濃度」など
 を記載し、お客様に伝達するために使用されます。

 このJAMP(ジョイント アークティクル マネジメント 推進協議会)は、アーティクル(部品や成形品等の別称)が含有する化学物質等の情報を適切に管理しています。
 また、サプライチェーン(原材料・部品調達から製造・在庫管理・販売・配送までの製品全体の流れ)の中で円滑に開示・伝達するための具体的な仕組みを作り、普及させることが、産業競争力の向上に不可欠であるとの認識に立ち、この理念に賛同する17の企業が発起人となって、2006年9月に業界横断の活動推進主体として発足した団体です。

 情報伝達シートのサンプルは、下記のものになります。
 


 



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ちょっと役立つマメ知識

(22)『 ビニール貼り(表面保護シート) 』ってなあに?   

 ビニール貼り(表面保護シート)は、素材のキズ防止のために利用するものです。
 素材(ステンレスコイル,板など)の表面に貼り合わせてからプレス加工などの加工を行います。             
 加工時の表面保護(キズ防止)として利用されています。
 加工後は、表面保護シートを取り除きます。

 下記は、代表的な表面保護シートです。
   SG:塩化ビニールを主体とした表面保護焼付塗料です。
      焼付後はフィルム状になり、簡単にはがすことが出来ます。
      厚さは、30~50ミクロンです。
  SPV:ポリ塩化ビニル系のシートに特殊な粘着剤を塗ったものです。
      塗ったあとは、「表面保護粘着シート」になります。
      シートを素材(ステンレス等)に貼って使用します。
      はがすのは簡単で、素材への影響はありません。
      厚さは、120ミクロン位です。
  SPH:ポリエチレン系のシートに特殊な粘着剤を塗ったものです。
      塗ったあとは、「表面保護粘着シート」になります。
      シートを素材(ステンレス等)に貼って使用します。
      はがすのは簡単で、素材への影響はありません。
      厚さは、60ミクロン位です。


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ちょっと役立つマメ知識

(23)『 エッチング 』ってなあに?   

 エッチングとは、金属面を化学的に腐食させ、材料の一部を除去する加工方法の一種です。
 具体的には、金属材料に製品を形取ったエッチング原版パターンを転写し、薬液による腐食溶解を行い、化学的に加工することを言います。
 一般的な機械加工やプレスでの加工歪みやバリは発生しません。そのためフラットな外観を保つことができます。
 また、加工の最終工程に洗浄工程があり、クリーンな製品となる特徴があります。下図は、そのイメージ図になります。
 (おおざっぱですが、こんな感じです。)  




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ちょっと役立つマメ知識

(24)『 ロール目 』ってなあに?   

 ステンレス鋼帯には「圧延方向」があります。これは「ロール目」とも呼ばれています。
 

 精密加工では、この「ロール目」を考慮しなければ、曲げ加工に影響する場合があります。
 曲げ加工での方向で強くなる方向と弱くなる方向があるからです。そのため曲げる方向を考えた取り方が必要になります。
 この取り方を間違えると、割れ(クラック)」が発生する場合があります。
 

 上図のような曲げ加工品を製造する場合、ロール目に対して、「直角取り」では曲げ部分に割れ(クラック)が生じる場合があります。 これに対して、「ロール目方向(平行)取り」または「斜め取り」では、割れ(クラック)の恐れは軽減されます。
 
 

 極端な例ですが、ビニールひもが縦方向に簡単にさけるようなイメージです。ビニールひもは横方向の裂けません
 (ステンレス鋼帯では、決してこのようにさけることはありませんので・・・)
 
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